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山々:ホヴェルラ山と富士山

26/2/9 3:00

象徴を通して、人は国をひとつの全体として感じ取ることができます。広がりや自然の境界、そして内なるリズムが、静かに立ち現れます。ウクライナにとって、その象徴のひとつが「山」です。

カルパチア山脈は、約6,500万年前に形成された、ヨーロッパでも最古級の山岳地帯です。ウクライナ西部に広がり、自然の境界線を成すと同時に、多くの河川の源流となり、古い伝統が息づく土地でもあります。ウクライナ・カルパチア山脈の最高峰は ホヴェルラ山 で、標高は2,061メートル。ウクライナで最も高い地点です。



山の名は、ルーマニア語の hoverla に由来するとされ、「近づきがたい場所」や「雪の頂」を意味します。夏でも山頂付近には白い雪の名残を見ることができます。ホヴェルラ山の形はピラミッドのように整っており、その輪郭は一度見ると記憶に残ります。



ホヴェルラ山には、恋人たちの伝説が伝えられています。少女ホヴェルラと青年プルート。邪悪な力によって引き裂かれ、少女は山に、青年はその斜面を源とする川へと姿を変えたといわれます。この物語は喪失ではなく、形を変えても続く結びつきを語っています。山と水は、今も寄り添い続けています。



ウクライナの人々にとって、ホヴェルラ山は単なる地理的な頂ではありません。19世紀から登山が行われ、当初は学術目的として、後に象徴的・観光的な道として定着しました。国家的な祝日には、登頂は特別な意味を持ち、存在の証、忍耐、そして自由を象徴する行為となります。



日本では、同じような精神的意味を持つ山として 富士山 が挙げられます。標高3,776メートルのこの山は、風景だけでなく文化的想像力の中心でもあります。ほぼ完全な円錐形の姿は、世界の調和を象徴する形として受け継がれてきました。富士山は絵画や詩、文学、信仰の中に繰り返し描かれ、巡礼者たちは心を清めるためにその山を登りました。



日本では8月11日に「山の日」が祝われ、山岳景観の美しさと人々の暮らしへの影響が称えられます。それは自然への敬意だけでなく、高さを責任や静けさ、集中と結びつける世界観を映し出しています。



ホヴェルラ山と富士山のシルエットは、言葉を必要としません。そこには世代を超えた記憶が宿っています。これらは単なる地理的な頂ではなく、精神的な道標です。山々は、歴史と自然、そしてそれぞれの民族の記憶を静かに守り続けています。



今日、ウクライナと日本の人々は、再び山へと向かいます。それは旅人としてだけではありません。困難な時代にあって、山の象徴は内なる支えを思い出させ、努力の先に広がる視野を示してくれます。頂は、信念と敬意をもって一歩ずつ進む人にこそ開かれるのです。

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