
ウクライナの郷土料理 第5部:スロボジャンシチナ
26/10/31 12:00
国際理解記事プロジェクト
スポンサー:ZenGroup株式会社

ウクライナ各地の食文化を巡る旅。今回は、ウクライナ北東部のスロボジャンシチナをご紹介します。ハルキウ州、スームィ州、ルハンシク州とドネツィク州の北部にまたがる地域です。北東部の国境地帯という地理的条件に加え、17世紀半ばから後半を中心に、コサックを含むウクライナ人の移住者がこの地に定住した歴史が、独自の食文化を形づくってきました。コサックは軍務に従事する一方、農耕や日々の暮らしを営む人々でもありました(軍事的な役割には日本の武士と一部共通する面がありますが、社会制度や伝統は大きく異なります)。この地にはキーウ国家の遺産とコサックの伝統が受け継がれ、農耕文化と北方の森の恵みが結びつきました。肉、川魚、森のベリー、豆、さまざまな穀物が地元の料理に使われています。
スロボジャンシチナのボルシチには、肉や野菜のだしにさまざまな食材を組み合わせる特徴があります。現代の家庭料理では、小さな肉団子を加えたり、カリッと揚げ焼きにしたフナを添えたりすることがあります。ここで紹介する作り方では、柔らかく煮た豆と、生または焼いたビーツが欠かせない材料とされています。酸味を加えるために、トマトのほか、ビーツのクヴァス、リンゴ酢、ホエイなどを使うこともあります。
この地方のヴァレーヌィキは中くらいの大きさで、具にも地域ならではの工夫があります。じゃがいもと玉ネギ、塩味をつけた自家製のカッテージチーズといった定番の具に加え、ゆでてつぶした豆を炒めた豚の脂身で味つけしたものも使います。夏から秋にかけては、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリーなどの旬の果実を包みます。
肉入りのホルブツィー(ロールキャベツ)は小ぶりで、ジューシーに仕上げます。柔らかい生のキャベツの葉や発酵させたキャベツの葉で、ひき肉とそばの実、またはキビを合わせた具を包みます。玉ネギとニンジンの炒め物を加えた濃厚なサワークリームソースで煮込みます。
伝統的な飲み物には、野生のリンゴ、ナシ、サクランボのドライフルーツにハチミツを加えて作る「ウズヴァル」があります。野山や庭で採れたベリーを煮たコンポートのほか、ベリーの煮汁をデンプンでとろみづけした「キスィリ」という、飲み物にもデザートにもなる一品も親しまれています。
スロボジャンシチナには、クリスマスに作り、贈り合う伝統的な飾り菓子があります。「パニャンキ」「コヌィキ」「バルィニ」などの地方名で知られるこの菓子を焼いて贈る習慣は、ウクライナの無形文化遺産国家リストに登録されています。人、馬、鳥、星などをかたどり、ピンク色に染めて、伝統的な模様を描くこともあります。クリスマスには子どもや名付け子、クリスマスの歌を歌って家々を訪れる人々などに贈られます。
スロボジャンシチナの伝統菓子「パニャンキ」の作り方
生地: 中力粉350g、砂糖200g、ぬるま湯150ml、ベーキングパウダー5g、バニラシュガー5g、手に塗る少量の油、ビーツの搾り汁40mlまたは赤・ピンクの食用色素。
模様描き用: でんぷん15g、小麦粉15g、水20ml。
作り方: 小麦粉、ベーキングパウダー、バニラシュガーを混ぜます。別の容器で砂糖をぬるま湯に溶かし、粉類に加えます。必要に応じて手に少量の油を塗りながら、なめらかな生地になるまでこね、15分休ませます。厚さ4〜5mmほどに伸ばし、人や馬、鳥、星などの形に切り抜きます。オーブンシートを敷いた天板に並べ、ビーツの搾り汁、または製品の説明に従って水で溶いた食用色素を表面に塗ります。180℃に予熱したオーブンで約15〜20分焼きます。でんぷん、小麦粉、水をよく混ぜ、弱火でかき混ぜながらとろみがつくまで加熱してから冷まします。焼き上がった菓子が完全に冷めたら、絞り袋を使って渦巻きや波線、点などの伝統的な模様を描きます。
スマチノーホ!どうぞ召し上がれ!


