
ウクライナ高校生 日本短期留学プログラム『KOI』 2027
10年後の日本とウクライナの関係を、今から育てる。
2026年夏、ウクライナ・リヴィウ市から高校生9名と教員2名を日本へ招く「ウクライナ高校生 日本短期留学プログラム」を実施しました。
戦時下でも日本語や日本文化、武道を学び続けている高校生たちに、教科書やインターネットを通してではなく、実際に日本を訪れ、日本で学び、日本の人々と出会う機会を届けるために始まったプロジェクトです。

しかし、このプログラムが目指しているのは、数週間の「留学体験」を提供することだけではありません。
私たちが見ているのは、10年後、20年後の日本とウクライナの関係です。
現在15歳、16歳の高校生たちは、10年後にはそれぞれの分野で社会を担う世代になります。
そのとき、日本で過ごした時間、日本で出会った人、日本の同世代と交わした言葉が、彼らにとって日本を「遠い外国」ではなく、自分自身の経験と人間関係を持つ国として考える原点になってほしい。
そして日本の若者にとっても、ウクライナをニュースの向こう側にある国としてではなく、友人が暮らす国として知る機会をつくりたい。
そうした一人ひとりの関係の積み重ねが、将来の教育、文化、研究、ビジネス、地域交流、そして外交へとつながっていくと考えています。
このプロジェクトについて
本プロジェクトは、ウクライナ・クリミア出身のコロペンコ・マリヤが発起し、企画・運営している教育交流プロジェクトです。
コロペンコは2014年にウクライナから日本へ移り、自身が日本で教育を受けた経験をもとに、日本で学び、人と出会い、異なる社会を実際に経験することが若者の視野や将来に与える影響を実感してきました。
その経験を、戦時下でも学びを続けているウクライナの次世代にも届けたいという思いから、2026年に第1回目となる短期留学プログラムを立ち上げました。
NPO法人Ukraine House Japanは、本プロジェクトの趣旨に賛同し、公式支援団体として活動を支えています。
本ページにおける寄付についても、Ukraine House Japanが寄付の受け皿となり、コロペンコ・マリヤが発起・運営する本プロジェクトを支援する形で活用されます。
2026年、第1回プログラムを実施しました
2026年7月19日から8月9日までの約3週間、ウクライナ西部・リヴィウ市にある武道館学校から、高校生9名と教員2名が来日しました。
来日前から、生徒たちは日本について学ぶための事前学習にも取り組みました。
そして日本滞在中は、日本語を勉強するだけではなく、学校、地域、文化、武道、都市、社会課題など、さまざまな角度から日本を体験しました。
日本語を「日本で」学ぶ
東京国際日本語学院で集中して日本語を学びました。
ウクライナで長く日本語を勉強してきた生徒たちにとって、日本語だけを使う環境で、日本の先生から日本語を学ぶことそのものが大きな経験となりました。
教室で学んだ日本語を、その日の午後や日常生活の中ですぐに使う。
その繰り返しによって、日本語が「学校の教科」から、実際に人とつながるための言葉へと変わっていきました。
日本の同世代と出会う
日本の高校生・大学生との交流にも多くの時間を使いました。
学校訪問や1対1の交流、ディスカッションなどを通じ、日本とウクライナの若者が互いの学校生活、将来、社会、文化について話しました。
ここで大切にしたのは、「日本人がウクライナ人を支援する」という一方向の関係ではありません。
違う社会で育った同世代同士が、それぞれに異なる経験や視点を持つ一人の人間として出会い、お互いから学ぶことを大切にしました。
武道と日本文化を体験する
生徒たちがウクライナでも長く学んできた日本の武道については、日本の道場で実際に稽古する機会を設けました。
また、神社や寺院、京都での滞在などを通して、日本文化を単に「見る」のではなく、その背景にある考え方や歴史、人々の生活との関係について学びました。
特に京都では、寺院での宿泊や学校交流など、東京とは異なる日本の文化や地域社会に触れる時間をつくりました。
日本の社会そのものを学ぶ
本プログラムでは、一般的な観光だけではなく、日本の行政、都市、環境、社会の仕組みについて考える機会も設けました。
自治体との交流や東京の都市施設の見学などを通じて、
「街はどのように運営されているのか」
「社会の課題について、市民や行政はどのように考えているのか」
「将来、ウクライナをどのような国にしていきたいのか」
といった問いについて、生徒たち自身が考えることを重視しました。
日本を見ることは、同時に、自分たちが暮らすウクライナを別の角度から見ることでもあります。
2026年のプログラムを終えて
プログラムの最後には、生徒たち自身が日本で経験したこと、印象に残ったこと、そして自分自身の考えがどのように変化したのかを発表しました。
2026年8月9日、参加した高校生9名と教員2名は全員無事にウクライナへ帰国しました。
しかし、このプロジェクトはそこで終わったわけではありません。
帰国後、生徒たちはリヴィウで日本からの訪問者との交流に参加したり、自分たちが日本で経験したことを周囲に伝えたりするようになっています。
日本で築かれた関係も続いています。
今回の留学を、「日本に行ったことがある」という一度きりの思い出にするのではなく、これから10年、20年と続いていく日ウ交流の出発点にすること。
それが、このプロジェクトにとって最も重要な成果の一つです。
なぜ、高校生なのか
国と国との関係は、政府間の外交だけでつくられるものではありません。
大学、企業、学校、自治体、文化、研究、そして何より、一人ひとりの人間関係によって長い時間をかけて築かれていきます。
だからこそ、すでに社会的立場や専門分野が固まった大人になってから交流を始めるのではなく、世界観や将来像をつくっている高校生の時期に出会うことには大きな意味があります。
15歳で出会った友人。初めて訪れた日本。
高校生のときに話した日本の先生や大学生。
その経験が、その後の大学選び、仕事、研究、社会への関わり方に影響することがあります。
私たちは、今すぐ目に見える成果だけを求めているわけではありません。
このプログラムの本当の成果が現れるのは、もしかすると10年後かもしれません。
だからこそ、今から関係を育てます。
2027年へ
2026年の第1回プログラムで得られた経験をもとに、すでに2027年度のプログラム準備を始めています。
第1回目を実際に運営したことで、
どのような体験が生徒たちに特に大きな影響を与えたのか
日本の同世代との交流をどのように設計すれば、より深い対話につながるのか
来日前の事前学習と帰国後の活動をどのようにつなげるべきか
受け入れてくださる学校・企業・地域・個人の皆さまと、より継続的な関係をつくるにはどうすればよいか
といった、多くの知見を得ることができました。
2027年は、この経験をもとに教育プログラムそのものをさらに発展させていきます。
単に「次の高校生を日本へ連れてくる」のではなく、2026年の参加者、2027年の参加者、そして日本側の高校生・大学生・教育機関が少しずつつながっていく仕組みをつくることを目指しています。
将来的には、毎年の参加者が次の世代を支え、日ウ両国に若い人材のネットワークが蓄積されていくようなプログラムにしていきたいと考えています。
プログラム実施には大きな費用が必要です
ウクライナの高校生を日本へ招き、約3週間にわたって安全な教育プログラムを実施するためには、多くの費用が必要になります。
主な費用は、
ウクライナから日本までの往復航空券
日本語学校の授業料
宿泊費
日本国内の交通費
東京・京都等での研修費
文化・教育プログラム実施費
海外旅行保険、安全管理費
渡航や受け入れに伴う各種調整費
などです。
2026年度は、これらを合わせて約720万円の費用がかかりました。
参加する高校生の家庭だけでこの金額を負担することは難しく、寄付や協賛、さまざまな団体・個人の皆さまによる現物支援によって初めて実現することができました。
2027年度についても、生徒の家庭の経済状況にかかわらず、意欲のある高校生が参加できるプログラムにするため、皆さまからのご支援をお願いしています。
ご寄付の使途
皆さまからいただいたご寄付は、2027年度のウクライナ高校生 日本短期留学プログラムの実施に必要となる、
航空券、日本語教育、宿泊、国内交通、教育・文化プログラム、保険、安全管理などの費用に活用します。
また、2026年度に構築した日本側の学校・教育機関・地域とのネットワークを継続し、帰国後も含めた長期的な日ウ交流の仕組みを育てていきます。
Ukraine House Japanと本プロジェクトの関係について
「ウクライナ高校生 日本短期留学プログラム」は、コロペンコ・マリヤが発起し、企画・運営するプロジェクトです。
NPO法人Ukraine House Japanは、その趣旨に賛同し、公式支援団体として本プロジェクトを支援しています。
Ukraine House Japanは、寄付の受け入れを含む活動基盤の提供などを通じて本プロジェクトを支えていますが、本プログラムそのものはUkraine House Japanが独自に立ち上げた事業ではありません。
発起人であるコロペンコ・マリヤと、Ukraine House Japanをはじめ、多くの学校、企業、団体、個人の皆さまとの協力によって実現しているプロジェクトです。


